毎年、4月末に注目している発表があります。今年も日本遺産に17件が認定されました。
文化庁は2015年(平成27年)から2020年(平成32年)にかけて国内100件程度の日本遺産を認定します。
年1度の認定は今年で3回となり、現在54件となっています。(毎年17件~19件程度)
この日本遺産の認定は、地域の歴史・文化そして産業などの価値をストーリーとして描くことを評価することになります。
文化庁では, 地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを「日本遺産(Japan Heritage)」として認定し, ストーリーを語る上で不可欠な魅力ある有形・無形の様々な文化財群を総合的に活用する取組を支援します。
世界遺産登録や文化財指定は, いずれも登録・指定される文化財(文化遺産)の価値付けを行い, 保護を担保することを目的とするものです。一方で日本遺産は, 既存の文化財の価値付けや保全のための新たな規制を図ることを目的としたものではなく, 地域に点在する遺産を「面」として活用し, 発信することで, 地域活性化を図ることを目的としている点に違いがあります。
文化庁 日本遺産 引用
しかし、認定されるには容易ではありません。
2015年 申請件数83件 認定18件
2016年 申請件数67件 認定19件
2017年 申請件数79件 認定17件
計229件 計54件 申請から認定される割合約23%
認定は難関であるとともに、認定されなかったテーマでは再度、申請されていないので、申請は一回勝負となるようです。
日本遺産は地方自治体から申請されますが、2通りの方法と条件があります
地域型(単一自治体)とシリアル型(複数の自治体)の認定割合
地域型 18件
シリアル型 36件
歴史文化、伝統そして現代にいたるストーリーを描くには、複数の地方自治体につながるほうが魅力的ということでしょうか。
単一の地方自治体の地域型での申請は5つの条件のうち、最低1つは必要となります。5つの条件のうち3つの条件は世界遺産になった、または候補になったことが条件です。
残り2つは
・歴史文化基本構想を策定している
・歴史的風致維持向上計画を策定している
歴史的風致維持向上計画は、歴史まちづくり法により歴史的風致の維持向上を図ろうとする市町村が策定する歴史的風致維持向上計画を主務大臣(文部科学大臣、農林水産大臣、国土交通大臣)が認定し、その取組を支援するものであり、計画の認定都市数は現在62都市となっています。
そして、歴史文化基本構想は、文化財を核として、地域全体を歴史・文化の観点からとらえ、各種施設を統合して歴史・文化を生かした地域づくりを行っていくために地方公共団体が計画・策定する。現在、53自治体が策定。(策定に際しては文化庁の支援事業もある)。
この歴史文化基本構想策定のみの地域型日本遺産認定を受けた地方自治体は、たった5地方自治体のみ。
篠山市「丹波篠山 デカンショ節 -民謡に乗せて歌い継ぐふるさとの記憶」
伊勢原市「江戸庶民の信仰と行楽の地~巨大な木太刀を担いで「大山詣り」」
江差町「江差の五月は江戸にもない ─ニシンの繁栄が息づく町」
出雲市「日が沈む聖地出雲 ~神が創り出した地の夕日を巡る」
倉敷市「一輪の綿花から始まる倉敷物語 ~和と洋が織りなす繊維のまち~」
上田市も現在、歴史文化基本構想策定のために市内文化財の悉皆調査を行っています。2019年(平成31年度)には、日本遺産の申請を目指しているということですが、果たして信州うえだの文化や伝統にはどんなオリジナルストーリーが潜んでいるか?
ストーリーテラーが重要です。
ただ、日本遺産は狭き門です!。