先月9月、地方自治法が一部改正されました。
今回の改正は主に地方議会に関わる『議会運営』と『議会と長との関係』などです。

例えば、議会と長との関係では
専決処分(議会が議決すべき事件について必要な議決が得られない場合に、議決に代えて長が行う処分)について
『副知事及び副市町村長の選任を対象から除外する』
『条例・予算の専決処分について議会が不承認としたときは、長は必要と認める措置を講じ、議会に報告しなければならないこととする』など、最近の事例(市長と議会の対立等で市長が専決処分を連発)から議会のチェック機能が強化されています。

また、議会運営(法律公布後6か月後から施行)では
「政務調査費」という名称が『政務活動費』に変わり、使途目的を「議員の調査研究その他の活動に資するため」に改め、政務活動費を充てることができる経費の範囲を条例で定めることができるようになりました。

それでは現在の政務調査費はどうか、
平成12年(2000)地方自治法改正により、調査研究の経費として地方議会の議員に支給される費用であり、
『調査研究の経費』とは、(上田市議会の場合、条例施行規則)、議員活動の目的に使われる以下の経費となります。
・研究研修費(自ら主催する場合や他機関が開催する研修会に参加する旅費、参加費)
・調査旅費(いわゆる先進自治体へ行政視察のための旅費)
・資料作成費(使用印刷費や会派室に設置する事務機器のリース代も含む)
・資料購入費(図書購入)
・広報費(会派の活動や議会活動を市民に報告する経費)
・広聴費(会派が市政について市民から意見や要望を聞く際の会場費等)
・人件費(会派の行う調査研究活動を補助する職員を雇用する経費)
・事務所費(会派の行う調査研究活動のために必要な事務所の設置及び管理に要する経費)
・その他(上記以外の経費で会派の行う調査研究活動に必要な経費)

詳細は上田市議会ホームページ政務調査費を参照。

 多くの地方議会では(議員1人に支給される金額が大きい場合は、個人に支給される)所属する会派に年度で一括や2回ぐらいに分けて支給され、会派で上記目的で使用されます。
 
 ここで問題となるのは、この使い道が議員個人の私生活にかかわるものを購入したり、自身や所属する政治団体の政治活動に使われたりするのではないかという疑惑を招く点にあります。

 更に、政務調査費の使い道は、議会が公開している場合と、非公開であったり、領収書の添付が数万円以上のものを対象としていたり、情報公開請求など手間のかかる手続きを経なければならない場合であったりと使い道に不透明さを感じさせたり、疑惑がもたれることで、しばしば問題になり、返還請求などの訴訟が起きています。
 
 今回の法律改正は、それぞれの地方自治体によって使い道を条例の規定によって『その他の活動に資するため』を拡大できるようになっていますが、下図をご覧のとおり、長野県と中核都市(人口30万以上が目安)の長野市以外の長野県内及び上田市規模人口の他市の状況を見ると、とても人件費や事務所費などに使える額ではありません。
 また、オンブズマンが特に目を光らせているのは、主に都道府県議会、政令都市、中核都市そして県庁所在地市などの議会の政務調査費のあり方のようです。今回の使途目的の拡大について様々議論があることでしょうが、月額例えば長野県議会では31万円、東京都議会では60万円など果たして高額な政務調査費は必要なのかということが選挙公約では叫ばれても、その後はあまり議員の言葉から出てきません。

 私は、政務調査費は議員活動にとって必要な経費と考えています。
金額の大小という観点では、それぞれの自治体の議会によって決められた経緯はあるでしょうが、
肝心なことは政務調査費を活用し、議員として成果・結果をいかに残していくかではないでしょうか?また、透明性を保つことが更に求められます。

以下の表は、政務調査費支給の実際です。
長野県内の場合。
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上田市と同程度の人口15万~17万の市(栃木県の市は高額です)
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類似団体(この区分はよくわかりませんが、職員給与等水準によく使われる)
市議会については、あまり参考にならないかもしれません。
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