6月定例会一般質問続きです。
 『障がいのあるなしにかかわらない、あらゆる立場の市民が社会参画できることについて』
雇用・就労支援のあり方
 行政の仕事は縦割りです。縦割りは弊害もありますが、良いこともあります。しかし、我々の仕事はここまでと線を引かれると
困ることが発生します。市民相談の事例は、行政の担当部門と担当部門のはざまに課題があるからです。

 雇用、就労に結びつかないことにもさまざまな要因や理由があると思います。しかし、困ったことがあるから、さあ相談窓口に行って相談しようとなるでしょうか。そこで、3点ほど伺います。
 障害のある方、身障者、療育、精神の障がい者手帳を交付された方々の就労支援のあり方と、現在の課題は何か。障がい福祉計画の具体的な取り組みは何か。
 2、障がい者とは言えないが、人とのコミュニケーションが苦手など、課題を抱えた方々への就労支援のあり方をどのように考えているのか。
 
 ところで、今月初め、政務活動費を活用し、東京にある障がい者雇用を積極的に行っている企業2社を訪問いたしました。その中で、百貨店の三越伊勢丹グループの特例子会社である株式会社三越伊勢丹ソレイユの取り組みは、大変感動いたしました。「一人一人が違うことを突き詰めたのか。障がいが起因してできないことは10%未満にすぎない。90%は周りが指導していないからできない。私たちの会社は、普通の会社であり、高い生産性と精度の高いものをつくり、本社の発展に貢献したい」とは、この会社の社長の四王天正邦社長が語った言葉です。
  64名の社員のうち55名が重度知的障がいの方です。指導するスタッフが、社員それぞれの状況に合わせてつくった「お仕事ノート」をもとに、ギフト用リボンやラッピング袋、修理伝票の整理など、百貨店の附帯業務約100種類を行っており、ほぼ全員が同じ仕事ができる。1つのことに執着をして、多様な仕事をすることが難しいと言われている自閉症の社員に対しても、途中で仕事が変わることを覚えてもらう。今まで店頭販売員が時間外で行ってきた仕事を、この会社が行うことで、店頭社員の残業時間5,000時間がなくなった。さらに、店頭社員が行うよりもクオリティーが格段高いものがつくられている。指導するスタッフも、本体からの出向者や再雇用で、福祉のプロはいない。百貨店業務に精通した社員が指導している。社員の一人から、「お客様から給料をいただいている」との言葉は、グループ会社全体に共通しているようです。世の中にはすごい会社があるものです。
 ダイバーシティーという言葉があります。この言葉は、さまざまな違いを尊重して受け入れ、多様な人材の力を発揮させることで、企業として成果を上げる経営を指します。生活困窮、障がい者雇用、就労を企業に対して積極的に働きかけてきた多くの関係者から、企業が理解してくれることについて、大変難しい、課題であるとの意見が聞かれました。そこで、伺います。
 1、障害者雇用促進法の改定により、法定雇用率の引き上げ等障がい者等を受け入れるために、企業への啓発活動の現状はどうか。
 2、就労支援の啓発、社会に積極的に参加していくために、当事者、家族及び地元企業や就労支援施設等、幅広く市民の皆様を対象とした雇用就労企業現場の具体例を挙げた講習会、例えば先ほど例に挙げました株式会社三越伊勢丹ソレイユの社長をお招きしての講演会の開催など、市が多様な人材を採用していく機運を高めていくことを提案しますが、どうか。
 3、一般企業、団体にとって採用窓口は、障がい者であろうと、一般であろうと、学卒であろうと、分かれているところはまれであります。市内企業、団体に理解をしていただくためにも、庁内において雇用を担当する商工課、雇用促進室と、障がい者を担当する障がい者支援課、生活支援を担当する福祉課とのさらなる連携を図ることについてどう考えているのかお聞きいたします。

 答弁:櫻田福祉部長
障がいのある方の就労には、5つの形態がございますが、支援の状況を申し上げますと、この5つの形態から一般就労等を除きました就労移行支援事業と就労継続支援A・B型の3つの事業につきましては、障がい福祉サービスのメニューでございまして、平成26年度は就労移行支援事業に70人、就労継続支援事業に428人の皆様が利用していただいております。
 次に、障がいのある方の就労の課題といたしましては、一般就労に結びつくケースはふえてきてはいるものの、就労後の定着率の課題、問題がございます。福祉施設での訓練や体験は重要なものとなっております。取り組みといたしまして、具体的には、先ほども申し上げましたが、障がい福祉サービスの就労移行支援や就労継続支援の利用促進あるいはソーシャルスキルトレーニングの実施、トライアル雇用やジョブコーチ等の事業の活用をしているところでございます。
 次に、人とのコミュニケーションが苦手などの課題を抱えている方につきましては、個人差もございまして、相談窓口もさまざまでございますが、生活に困窮しているが、就労等により生活を立て直したいという意欲のある方であれば、まいさぽ上田でお話をお聞きし、本人に寄り添いながらきめ細やかな支援を行っております。ハローワークへの同行のほか、障がい者雇用が必要な方につきましては、必要な機関に連携しながら包括的な支援を行ってまいります。
 また、本年度上小圏域障害者自立支援協議会の就労専門部会の取り組みの一つといたしまして、障害者の定着率の向上を図るために、市内の事業所の協力を得まして、精神及び知的障害などのコミュニケーションが苦手な方を雇用していただき、成功事例のノウハウを蓄積するとともに、雇用面から見えてくる就労支援体制の課題の整理についても検討していただきたいと考えております。
 次に、障がい者の受け入れについて、企業への啓発活動等についてのご質問でございます。上小圏域障害者自立支援協議会の専門部会の取り組みとして、企業側への実態調査を行い、この結果を踏まえまして、就労移行支援事業所や就労継続B型事業所、特別支援学校とのミニ面接会をこの秋に3回実施する予定でございまして、福祉就労サービスから一般就労へつなげることへの理解の促進を図ってまいります。
 また、ご提案ありましたように、障害者雇用の機運の醸成を図るために、自立支援協議会などでの先進事例を踏まえた講習会等の開催も検討してまいりたいと考えております。
 市の担当部署間の連携強化につきましては、議員ご指摘のとおり大変重要な点でございます。平成28年4月には、障害を理由とする差別の禁止、職場内での合理的配慮の提供、平成30年度の法定雇用率の引き上げなど、法律の施行を控えており、庁内はもとより、関係各所が連携し、周知、啓発などの対応をしていくこどか必要であると考えております。