公明党の国土交通部会(部会長=高木陽介衆院議員)と社会インフラ老朽化事故原因等究明プロジェクトチームは6月25日、国土交通省に太田昭宏国交相(公明党)を訪ね、7項目にわたる「建設産業政策と入札契約制度に関する提言」を申し入れました。
 
 ポイントは5つあります。
 (傍線は私が引きました)

1.インフラ老朽化時代を見据えた多様な入札契約方式導入の検討
 会計法は物品調達を含め公共調達全般に幅広く適用することを前提としているが、公共工事は一品ずつの請負であり、工事の規模や難易度、地域の実情などが異なる。透明性や住民からの信頼を確保した上で、発注者が円滑に活用できる入札契約方式を導入すべきである。
特に、地域のインフラのメンテナンスを適切に行うため、地元に精通した施工力のある業者が安定的・継続的に維持・管理を行うための契約方式の導入が必要となる。そこで、災害対応などの地元貢献や独自の技術力を有する業者に対する加点評価などを導入すべきである。効率的で効果的なインフラの点検、診断、検査等を行うための手法に加え、新技術の開発・導入・普及を円滑に進める仕組みも検討すべきである。

2.工事価格の適正化に向けて下請、現場まで見据えた対策の必要性
 発注者が元請に支払った代金が、下請や現場の技能者の手元に着実に届く流れを作らなければならない。ダンピング対策の徹底に加え、元請・下請間の契約適正化や設計労務単価引き上げ後の賃上げ状況の調査、フォローアップを行うべきである。
また、専門工事業者などに対し最低制限価格を設けて価格カルテルを認めるなど、新たな試みも検討すべきである。公共工事だけでなく、民間工事についても同様の対策を求めたい。

3、地方自治体発注工事に係るダンピング対策等の取組強化の必要性
建設業者の疲弊に歯止めを掛けるためには、地方自治体が発注する工事におけるダンピング対策の強化が重要となる。適切な予定価格の積算や低入札価格調査基準価格の設定・運用、契約後の適切な設計・契約変更、検査などが行われるよう対応策を求めたい。
今後のインフラのメンテナンスやダンピング対策の強化において、とりわけ地方自治体は職員が少なく、発注者としての機能・体制が十分とは言えない状況に置かれている。こうした発注者を支援する仕組みについても検討すべきである。

4、建設業界における人手の確保、働く環境改善
 建設業界は高齢化が進み、若年者や現場の技術者・技能者の確保が課題である。社会保険の加入促進による若年入職者の就労環境整備、一定の経験を積んだ若手技術者が早期に資格取得できる仕組み若年者や技術者・技能者の確保・育成に取り組む業者に対する入札時の加点評価なども検討すべきである。社会保険の加入促進に当たっては官庁工事から範を示し、価額に法定福利費相当額を明示する仕組みも求めたい。

5、新たなマーケットとしてのメンテナンス産業の確立
建設業界全体の先行きに対する不安が、若年者の雇用縮小や技術力の低下を招いている。メンテナンス・マーケットの確立が急がれる中、看過できない事態だ。
「メンテナンス元年」の本年こそ、戦略性を持って維持・管理、さらには更新を進めるため、インフラの総点検を実施し、中長期的な維持・管理計画の策定につなげることが重要となる。この計画こそが建設業界が継続的、安定的に事業を運営することにつながることから、将来の見通しが立つ環境整備をすべきである。
国土交通省が掲げる中古住宅流通・リフォーム市場20兆円規模の拡大へ、業界の意識醸成はもちろんのこと、リフォームの担い手の育成、中古住宅の品質や魅力を高める取り組み、消費者への情報提供をはじめとした市場環境整備が不可欠であり、早急に行うべきである。

 
 国土交通省は今年を「メンテナンス元年」として社会インフラの維持・管理体制を見直し、強化を進めています。
 今回の提言は、その担い手である建設産業の強化や建設産業が抱える課題の解決も同時に図るべきというものです。