先週、脳脊髄液減少症の病をもつ方のご家族(家族・親の会)と上田市担当課(健康福祉部健康推進課、教育委員会学校教育課)の担当者との懇談会がありました。
脳脊髄液減少症は、交通事故を始め、転倒やスポーツ外傷、体に衝撃を受けたことなどが原因で脊髄硬膜から脳脊髄液が漏れ、脳脊髄液が減少してしまう病気です。
脳脊髄液が減少することで、大脳や小脳はそれとともに下がってしまい、脳と頭蓋骨をつないでいる神経や血管が引っ張られて脳の機能が低下するために、神経系の症状、激しい頭痛や、首の痛み、めまい、倦怠、視機能障害、吐き気、耳鳴りなどのさまざまな症状がでます。
脳脊髄液減少症・子ども支援チームHPより)
ご家族の皆様から、
 この病は、様々な医師にかかっても正確な診断を受けられない。患者自身やご家族が、自らインターネットなどで調べ、専門医から検査を受け診断にたどり着く。
 脊髄硬膜から脳脊髄液が漏れることはあり得ないなどという従来の考え方から、専門医が非常に少ない上に、この病に効果があるといわれているブラットパッチ療法(髄液が漏れている部分の硬膜外腔に自分の血液を注入して漏れを修復する治療)には保険適用がされないので1回の治療に30万円以上かかる。
 気や心の病と疑われたり、
 学校や職場でも外見上は異常がないように思われることから「なまけている」と決めつけられる。
 時には歩くことができないほど体調が悪い上に、周囲から理解されないことへの苦しみが覆いかぶさる。
昨年、厚生労働省よりブラットパッチ治療が先進医療の認定を受け、その結果により保険適用について検討されることになっていますが、
 長野県内では、ひとりのお母さんの奮闘により、飯山市をはじめ飯綱町など複数の市町村中学生以下の子どものブラットパッチ療法等について半額を公費で負担する制度が昨年より始まっています。

 医療制度等を見直していくことは国の責任なのかもしれませんが、
 ただただ、原因不明の症状に苦しみにさいなまれ、本人と家族がその渦中にいらっしゃること、どこでどの科で治療をしたらよいのか不安にかられることを少なくしていくために
 地方自治体での
 市民に対するこの病気の啓発、
 学校での武道の授業、体育、部活などで起こる事故等への対応
について、継続的情報提供していく必要があります。
 この病に早くたどり着くことは、
『早期発見、安静の必要性、初期治療』につながります。

 全国には、この病に苦しむ方が30万人以上、そして100万人以上の方が潜在的にいると聞いています。
いまだ、この病名にたどり着けない方々もたくさんいらっしゃるかもしれません。
 また、長野県内の医療機関ではブラットパッチ治療ができる医療機関が限られている上に、厚労省認定の全国29の先進医療機関は1つもありません。
 この病名にたどり着いても、診察や治療を受けるために、県外の専門医療機関へ入院するケースもたくさんあります。
今年3月、
脳脊髄液減少症患者・家族支援協会
脳脊髄液減少症・子ども支援チーム
の2団体が共同で『ブラッドパッチ療法の保険適用及び脳脊髄液減少症の治療推進を求める要望書』を全国約15万人の署名とともに枡屋厚生労働副大臣に提出。

 また、上田市議会でも、国への意見書を提出しました。
1 ブラッドパッチ療法の治療基準を速やかに定め、平成26年度に保険適用とすること。
2 脳脊髄液減少症の診断・治療の確立に関する研究を継続し、診療ガイドラインを早期に作成するとともに、子供に特化した研究及び周辺病態の解明を行うこと。
3 脳脊髄液減少症の実態を調査し、患者及び家族に対する支援体制を確立すること。
4 ブラッドパッチ療法に関する先進医療認定施設を、各都道府県に最低1カ所設けること。
 参議院でも渡辺孝男議員(脳神経外科医)が厚生労働委員会で質問をしています。ユーチューブよりリンク
 
 
 脳脊髄液減少症に限らず重い病は本人やそのご家族にとって人生を大きく変化させてしまいます。
私もそのような経験をしました。
 国や地方自治体、政治がしっかりやらなければならないことを痛感しています。