昨日は、上田地域産業展を見に行きました。上田市及び周辺の企業が各ブースでPRをする展示会です。上田市を含め約20万を超える人口を有するこの地域には、社員数や売り上げで比べるだけではその凄さがわからない、日本一の開発、世界有数のシェアをもっている会社が沢山あります。
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 産業展と並行し別会場では「人材活性化フォーラム」と題してセミナーが行われました。
午後からは「学生就職支援フォーラム」が行われ、私も聴講に行きました。
 300人定員の会場には、地元の職業高校、短大・専門学校生が先生や職員に引率され席を埋め尽くす勢いでした。
 フォーラムは以下のテーマによる、2部構成でした。
第1部はキャリアカウンセラーの基調講演
 「就活はじめの一歩」長野で働き暮すことで実現したい夢をデザインしよう
第2部はパネルディスカッション
  この地域の人気企業、4社の人事担当者による「企業が求める人材とは」

第1部キャリアカウンセラーの講演では、
就活相談の現場から
やりたいことがわからない、どうやって応募先を選べばいいのか、自己分析ってどうやればいいのか・・という相談が高校生、大学生に多かった。

企業が新卒者にもとめることアンケート(県内680社)では
高校新卒に対しては「基本的な生活態度・言葉遣いマナー」67%
短大・専門学校生に対しては「積極性」58%
が突出している。

就活を突破するポイントは「応募動機がはきはき語れるようになること!」
と具体的なアドバイスがありました。

そして、自己分析についても説明があります。
自己分析の目的は2つ、肯定的にとらえる訓練、応募動機に収れん。

第2部のパネルディスカッションでは、
人事担当者(といっても役員クラス)が各社が求める人材像や学生に求めることを説明していました。
ある会社の人事担当者からはちょうど自分にも就活を始める年頃の子どもがいる。常々、子どもに「一度入った会社は辞めてはいけない」と話をしている。
これに対して、第1部で基調講演を行ったキャリアカウンセラー(第2部ではアドバイザーとして参加)が、「一度入った会社は辞めてはいけない」については時間があれば議論をしたいところだ。ここにいらっしゃる方々は、一度も会社を辞めたことがないのでは?私の時代の女子大生は、就職で大変苦労をした。だからこそ、自らの力で(自分の実力が発揮ができる)起業をした・・という趣旨の話をしていました。

私は、会社員時代、長年、人事担当者として新卒・中途採用を行ってきました。また転職も経験しています。
人事担当者の発言、カウンセラーの発言・・それぞれに一理あると思います。
■「一度入った会社は辞めてはいけない」
ここには長い間、人事採用を担当者していた経験者の言葉と父親としての思いがあります。
バブル期の就職活動は学生優位でした。企業は新卒予定の学生に対して顧客を接待するような扱いをしてきました。それが現在ではどうでしょう。企業に気に入られるために学生は必死にマニュアル通りの作法を覚えています。
 新卒で入った会社を辞めてしまえば、次の就職が非常に困難であること。100社近く応募しても、面接まで漕ぎつけるのは10数社、そこから採用まで、気の滅入る毎日、断られ続ければ自信もどんどん失っていく。バイトや派遣の道に入ってしまえば、再び正社員の道に戻ることが難しい。だからこそ、一度入った会社は辞めてはいけない。そのために真剣に就活を行って、自分の道を選んでほしい。
バブル崩壊、リーマンショック・・採用は景気によって大きく左右されます。こうした企業の姿勢は非情にも思え、その都度、その時代の学生の心は翻弄されてきました。
■「道は自らの力で」
世間が言う良い会社(この定義は様々ですが)に入ること。受験勉強という尺度と同じ感覚しか持ち合わせていなければ、大手企業等に応募が殺到するでしょう。
しかし現状は、以下の数字にも表れています。
新卒就職後の3年以内の離職率
大卒30%
高卒50%~60%
中卒70%
また、入ったは良いが、仕事を続けていくにメンタル面で大変なストレスを抱え、病になる。昇進が出世競争に。国民のために働く高級官僚になっても不正を犯す。企業は大きければ大きいほど、リストラが人員削減に直結していきます。組織の一員であれば誰でもがその対象になり得ます。

 常に他と比較して、幸福度を測る。相対的な幸福感を追求する生き方は、満足できる生き方なのか。自信を培えるのか。
 自らの意志で、実力を発揮するために努力する、知恵を働かせる、訓練をする・・就職は会社に勤めることだけではなく、仕事(=生きていくための活動)につくこと。仕事は社会や地域そして家族とかかわりをもつ鍵であり、人生の大半を過ごす時間と居場所。
私は人事担当者、カウンセラーの言葉を聞き、このように思いました。
 
 今月、公明党青年委員会では全国の企業、学生、職業訓練受講者を対象に若者雇用調査を行っています。
党アンケートの設問事項は客観的ですが、不満な点もあります。中小企業を中心にしたアンケート設問を見ると新卒(それも大卒)募集に関する質問が前半並びます・・しかし地方の小さな会社には全く当てはまりません。産業自体が大卒、高卒も近年採用できる状況にはない業種が多々あります。
(但し、今回のアンケートのねらいでもある、学生の就活が一部大手企業に集中する傾向にあり、就職浪人までする学生も多い。中小企業が採用したくても応募者がいないなど、実体を把握するための調査としては
まず、現場の声を聞く姿勢は評価したいと思っています)

キャリアカウンセラーは講演の中で、就活のメンタルヘルスについて、就活は
社会に適応する筋肉をつけるトレーニングジムだから、つらい不安はだめだからじゃない当たり前と思うこと。自分だけではしない。不安=願いの裏返しなんだ。と説明がありました。不安の根底は願いであること・・でも「願いはできるだけ他人と比べて導かれたものでない方がいいいなあ」と思います。

結びに元人事担当者からの就活ワンポイントアドバイス
 マニュアル通りの就活は、その他大勢に映ります。自己分析や情報収集も良いが自分がどんな会社が、どんな仕事に向いているかなんて、わかりません(特に文系)。
(小さい会社であれば)社長、または人事担当者と
自分が気が合うか、合わないか。が
一番大切ではないかとおもっています。
だから出会いを大切に
自らの意思(→意志になればもっと良いですが)を培いましょう。

 自分の人生です。
 よき人生を送る・・社会や地域にかかわること、家族を大切にすること。
大手ばかりではなく地方にも、そして大企業だけではなく、社員が数人の企業にもあなたしかできない仕事があるはずです。あなたを必要としている場所があります。また起業することも、将来独立することも良いでしょうし、地方議員として生きていくことも選択肢の1つです(でも生活は大変ですよ)。