1ヶ月ぶりのアップとなってしまいました。

 昨年11月、国際標準規格ISO26000(Social Responsibility)が発行されました。
いままで大手企業を中心に、CSR(corporate social responsibility)=企業の社会的責任が注目されてきました。企業が社会的な存在として、法令遵守や利益貢献だけではなく、市民・地域へ社会貢献や環境への配慮、情報公開などを自主的に行う。コンプライアンス(法令よりも自主的により厳しい基準を自主的に作る)や一時流行した内部統制の仕組みにはじまり、環境保護活動、ボランティア活動や地域や社会への貢献活動を企業や所属する社員が積極的に地域社会に関わっていく。
 投資家は企業の価値を判断する際に、単に利益だけではなく、その企業が社会にとって必要な存在かどうかを評価する。

 ただし、CSRは首都圏の大手企業が実践したばかりではなく、地域の小規模企業も行ってきました。例えば、公共事業を行う地方の建設業とその関連業界では、規模の大小にかかわらず、当たり前のように地域活動をしてきました。確かに現行の入札制度(入札参加申請にはじまり、実際の総合評価方式入札など)、建設業の経営審査事項(業者の力を点数付け)にも企業のボランティア活動やISO14000・エコアクションの取得など環境活動が点数化される仕組みがある以上、ボランティア活動を会社組織としてやるべき状況だったのかもしれません。
 また、地元の町工場でも、以前から技術者が職人の技を地域の小中学校、職業高校などで教えてきました。
 企業の社会貢献といってもボランティアを行うのは、会社に所属する『人』です。いつも感じるのはボランティアに参加され活動する方々は、皆生き生きして一所懸命です。
今回の大震災では、多くの方々が自らの意志で支援活動に参加されています。全国で大多数の方が社会や地域に貢献したいと思われています。会社や何処からか命令されて、いやいや参加する方など少ないはずです。 

話を戻します、ISO26000の特徴は、いままでのマネジメントシステム(ISO9000、14000、27000)とは違い、『要求事項』を示し認証を取得する規格ではありません、ですから第3者機関が審査することもありません。あくまでも指針(ガイドライン)である点です。
更に、ISOですから国際的な標準を示しています。日本規格協会のISO/SR国内委員会では、ことさら中小企業を念頭においた、解説集や事例集が示されていますが、ISO26000は、あらゆる組織・団体に適用できるように、わざわざ、CSRではなくSR(組織団体のための社会的責任)の国際標準ガイドラインとしているのは、大変注目されます。
ISO26000第4章には、組織が果たすべき社会的責任について7つの原則が示されています。中でも『ステークホルダーの利害の尊重』は興味深い原則です。
『ステークホルダー』とは、利害関係者と訳されるようですが、どうも自分の組織と関わりのある組織や団体、人を指すと捉えることができます。企業や団体は、単体で活動をしているのではない。消費者や株主はもとより、所在する地には、地方自治体や町内会や地域住民がいる。『利害の尊重』=互いが支え合い社会の秩序が保たれている。私はこのように解釈をしました。
ISO26000は企業だけの指針ではありません。
当然、官庁、地方自治体や政治団体にも当てはめることができます。
むしろ、これからは公共団体が、このような国際標準に沿った活動指針をそれぞれ策定するべきではないでしょうか。
 モデルとなる事例があります。
 北海道釧路市では、平成20年7月に『釧路市職員の社会・環境等活動(CSR)推進指針』
を策定しました。職員自ら積極的に地域活動(消防団、自治会役員)やボランティア活動に参加することや、家庭と仕事の両立について言及している画期的な指針です。
 
 支え合う社会が世界標準となった時代の到来です。

リンク
ISO/SR国内委員会 
釧路市職員CSR